本記事では、千野剛司さんの著書「仮想通貨とWeb3.0革命」についての要約と管理人の解釈もふまえてご紹介します。
今回の内容としては、
- Web3
- NFT
- DAO
について解説します。
本記事の対象者としては、Web3の情報収集を始めてみようという初心者の方向けの内容となっています。
著者の千野剛司さんについて
Payward Asia代表取締役社長。
慶応義塾大学卒業後、2006年に東京証券取引所(東証)に入社。2016年よりPwC JapanのCEO Officeにて、リーダーシップチームの戦略的な議論をサポート。2018年に仮想通貨交換会社「Kraken」を世界的に運営する米Paywardに入社。2020年3月からKraken Japan代表を務めた。一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会理事(2021年6月から現在)。一般社団法人日本暗号資産取引業協会副会長(2021年6月から2022年6月まで)。英オックスフォード大学経営学修士(MBA)修了。
引用:https://bookplus.nikkei.com/atcl/author/00178/
ちなみに本書の巻末にある対談記事がアップされています。
この対談内容、かなり有益ですので本記事と併せて読むと非常に理解が深まると思います。
気になった方はぜひご一読下さい。
Web3とは
Web2の中央集権的な側面への批判に対して、インターネットを利用することで生まれる個人の利益や権利を企業から利用者に移すムーブメントのこと
引用:仮想通貨とWeb3.0革命 著:千野剛司
GAFA中心の経済圏で事業者は高い手数料を払わせられ、個人はひたすら情報が抜かれています。
結果、権利や富がGAFAなどの巨大テック企業に集中し、インターネットに透明性や自由がなくなってきています。
このようなインターネットの世界を生み出したWeb2のアンチテーゼとして生まれた動きがWeb3です。
そして、このWeb3の根幹となる技術がブロックチェーンであり、そのさきがけがビットコインです。
Web3がもたらすもの
Web3は【データの所有】と【組織のあり方】について、大きな変化をもたらします。
- データ所有を改革する主役はNFT
- 組織のあり方の変革はDAO
となります。
NFTとは
NFTとは、
デジタルアートやゲーム内のアイテム、イベントのチケットなどのデジタルデータに固有の価値を持たせることであり、ブロックチェーンでその保有者を証明できるようにすること
をいいます。
NFTはなぜ注目される?
仮想通貨プラス固有価値
ブロックチェーン技術に基づく仮想通貨の貨幣的価値に、デジタルアートやアイテム固有の価値が加わっている点が革新的です。
アートやアイテムの機能を活用して様々なシーンでの活用が期待されています。
希少価値を付加
デジタルコンテンツを希少なものとして扱えるようになり、供給量を調整することで価値のバリエーションを作ることができます。
デジタルデータに新しい二次流通市場を生み出す
デジタルデータに希少性がもたらされることで、二次流通市場が生まれます。
なぜなら、NFTデータは有限だからです。
そもそもデータは無限に複製だったため、常に需要が供給を上回ることはありませんでした。
ですが、有限となることにより、需要が供給量を追い越し、二次流通市場が生まれる構造へと変わりました。
中古市場でもクリエイターにロイヤリティを還元
また、ブロックチェーン技術がもたらす履歴証明により、二次流通の取引も捕捉できます。
その結果、二次流通の売買にも、クリエイターがロイヤリティを設定することが可能となります。
たとえば、BOOK・OFFでみなさんが鬼滅の刃を買っても作者の吾峠呼世晴先生には1円も入りませんが、NFTデータだったらロイヤリティが作者には払われるようになります。
このようにクリエイターにとっては、リアルの構造よりもNFTの方が有益な構造に変わりつつあります。
この構造変革が
「新しいムーブメントを生むのでは?」
と、期待が高まっています。
データの相互運用性
データをプラットフォームにしばられずに横断的に使用できるようになります。
パブリックチェーン上でサービスを展開する事業者であれば、データを持って自由にサービス間を行き来できるのです。
例えば、AppleミュージックのデータをSpotifyに持っていけません。
なぜなら私たちはAppleから音楽の所有権でなく、利用権を買っているからです。
極端な話、AppleやSpotifyからのサービス提供がなくなると、音楽の利用権は消滅します。
私はAmazonで電子書籍を数十万円は購入しているのですが、Amazonがサービス提供をやめると全て喪失することになります。
これって結構なリスクですよね。
このリスクがWeb3時代はなくなります。
東日本インド会社以来の組織イノベーション「DAO」
Web3がもたらす組織の改革としてはDAOです。
DAOとは、Decentralized Autonomous Organizationの略で、日本語では自律分散型組織と訳されます。
本書では
事業者・開発者など事業の中心メンバーだけでなく、利用者がガバナンストークンを保有して投票権を持ち、事業全体の意志決定に影響を与える組織
引用:仮想通貨とWeb3.0革命 著:千野剛司
と定義されています。
基本的には個人を主体としています。
代表的な特徴は、
- 上司なし
- 給料は仮想通貨払い
- 参加者による投票で事業計画決定
の3つです。
DAOの運営はどんなイメージ?
DAOの運営は大学のサークルが近いです。
大学のサークルって基本的にみんなで話し合って意志決定していることか多いと思います。
幹事長とか副幹事長、書記などいくつかの役職はあるにせよ、これらはあくまで役割ですよね。
サークル内に上下関係とか、絶対的な権限の差は構造的になく、フラットかつ民主的な形で運営されているのがほとんどではないでしょうか?
とはいえ、こういった大学サークルの仕組みだと、
- 意見のとりまとめ
- 正確な意志決定
- 意志決定に基づく命令・伝達
- 事業による収益分配
- 評価・査定
などが上手くできないため、社会に出るとサークル的組織から、株式会社という組織で働くことになるのが暗黙のルールでした。
ですが、ちょっと乱暴な物言いですが、この大学サークルの組織形態をテクノロジーの力でバージョンアップさせたのがDAOです。
そして、DAOになることで、株式会社と同等、むしろそれ以上のアウトプットを実現することも可能になりました。
それでいて、株式会社が抱える
- 中央への権力集中
- 重層的な意志決定
- 株主の私物化
- 情緒的な人事評価
といった課題もDAOだと解決されると言われています。
もちろんDAOにも課題はあって、
- 民主化の機能しないシーンがある
- 初期メンバーが権限を分散させない
- 一票の重さによる参加者が疲弊する
といったこともあげられており、まだまだ発展途上の考え方です。
ですが、1500年ごろにできた東インド会社を祖とする「株主会社」という組織に取って変わる。
そんな数百年ぶりのイノベーションかもしれません。
この時代に居合わせたビジネスマンであるなら、まずはDAOがどんなものかは覗いておくのは必須かと思います。
おわりに
いかがだったでしょうか?
今回は千野剛司さんの著書「仮想通貨とWeb3.0革命」をもとにWeb3、NFT、DAOについて解説しました。
まとめると、
ポイント
- Web3とはWeb2の中央集権的な側面への批判に対して、インターネットを利用することで生まれる個人の利益や権利を企業から利用者に移すムーブメントのこと
- Web3は「データの所有」「組織のあり方」について、大きな変化をもたらす。
- データ所有を改革する主役はNFTであり、組織のあり方の変革はDAO。
- NFTとはデジタルアートやゲーム内のアイテム、イベントのチケットなどのデジタルデータに固有の価値を持たせることであり、ブロックチェーンでその保有者を証明できるようにすること。
- DAOとは、事業者・開発者など事業の中心メンバーだけでなく、利用者がガバナンストークンを保有して投票権を持ち、事業全体の意志決定に影響を与える組織をいう。
です。
本記事を通して、仮想通貨とWeb3.0革命について興味が湧いた方はぜひ、本書を手に取ってみてください。
また、Web3の世界に触れるためには、まず仮想通貨口座の解説が必要となります。
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