本記事では、千野剛司さんの著書「仮想通貨とWeb3.0革命」についての要約を、管理人の解釈もふまえてご紹介します。
今回の内容としては、
について解説します。
対象者としては、これから仮想通貨やNFTなどWeb3関連のサービスに触れていこうとされる方向けです。
背景を知っているとより楽しくトレードができるワン
まずは本記事のまとめからです。
仮想通貨の市場が解決する社会課題とはなにか?
仮想通貨市場がなぜこれほど注目されているか。
それは既存の金融システムの課題を解決しているからであると著者の千野剛司さんは考えています。
仮想通貨市場が現れる前の金融の課題として、
の3つです。
①お金を融通するのが金融本来の機能
儲かるために複雑な派生商品がたくさん作られた。
そして、お金の融通という目的から逸脱し、プロの儲けだけを考えてしまった。
②なぜ金融は儲かるのか
プロ投資家しか儲からないようなアクセス制限環境があり、構造として平等ではない。
例としては、「証券会社を通さないと株が買えない」など。
③金融は時代遅れになってないか
- 既存システムへのサンクコストを考えて、根本的に変えていくことができない。
- 規制による保護もあって、現状を変えていくマインドも生まれにくい。
です。
このような課題がリーマンショックで、顕在化しました。
そこから著者の千野さんは、既存の金融のあり方に疑問を抱き始めたそうです。
仮想通貨の市場が金融課題を解決する
そんな課題を認識していた金融畑の千野さんから見ると、仮想通貨市場は魅力的に見えたそうです。
というのも、上述した既存金融の課題を解決している部分が多いと言えるからです。
ポイントは大きく3つで、
です。
仮想通貨の市場は全ての人に平等に利便性が高い
営業時間
既存金融は週5日、1日5時間で土日祝は休みが基本です。
一方仮想通貨市場は、24時間365日、土日祝関係なく営業しています。
決済完了
既存金融は約定後2~3日ですが、
仮想通貨市場は約1時間もあれば世界中どこにいても決済が完了します。
分散管理で恣意的な取引制限もない
仮想通貨はブロックチェーン上で分散化が進んだ管理をされています。
なので、既存金融のような中央集権的な管理者によって恣意的に取引を管理されることもありません。
情報公開 オープンソースでの開発
既存金融は決められた範囲での公表に限られます。
一方で、仮想通貨市場はオープンソースでの開発が基本、かつ、ブロックチェーンによって履歴が改ざんされません。
透明性が非常に高い仕組みです。
仮想通貨の市場における日本の立ち位置
2021年のデータでは、現在の日本における仮想通貨市場は証券市場の1/10未満にすぎません。
これまで述べてきたとおり仮想通貨市場は、既存金融の課題を解決、発展させる点が多いです。
今後のことを考えると全体的に伸びていく傾向であることは想像できます。
ただ、日本はどうかというと、世界から取り残されているのが現状です。
以下がその理由です。
世界に先駆けて仮想通貨を法律で規制
日本では2017年4月に資金決済法が改正され、仮想通貨に関する法的なルールをいくつか設定しました。
法律で規制すると、自由な取引が失われるという悪い印象を持ちます。
ですが、当時は世界に先駆けて仮想通貨を法律で規制する取り組みでした。
なので、日本は仮想通貨に法的なお墨付きを与えているという良い印象が持たれました。
ゆえに、国内の業界的にも発展的なルールづくりとして好意的に見方が大半でした。
仮想通貨市場では日本は世界をリードしていたんです。
ですが、蓋をあけてみると、ルールや定義により新しい取り組みがやりにくくなるということが多発しました。
また、仮想通貨市場の発展スピードも、予想を上回る速さで法律・ルールが対応しきれない状態になりました。
その結果、法律がお墨付きというより、足かせになるケースが続出し、世界から取り残される結果になってしまったんです。
相次ぐ事件で仮想通貨市場が信頼を喪失
法的規制に相まって、仮想通貨市場では詐欺まがいのICOやハッキング事件が続出しました。
Initial coin offering(ICO、イニシャル・コイン・オファリング)は、一般に、企業等がトークンと呼ばれるものを電子的に発行して、公衆から法定通貨や暗号通貨の調達を行う行為を総称するものをいう[1]。
引用:wikipedia [Initial coin offering]
例えばICOだと、
GACKTさんが関わったとされる「Spindle」
ハッキング事件だと
コインチェック事件
などが有名です。
詳しくはコチラ!
こういった一連の事件により、メディアによって仮想通貨=怪しい投資商材というイメージが日本人に植え付けられてしまいました。
また、新しもの嫌いな日本人の習性もその傾向を加速させました。
それにより市場に参入した人が去って行く、新規参入者が激減するということが起きました。
その結果、仮想通貨先進国だったポジションを手放し、大きく遅れをとることになってしまいました。
仮想通貨の市場においてガラパゴス化する日本
2022年段階の日本もその当時の遅れを取り戻せていません。
日本では昨今、Web3という言葉はバズワード化してブロックチェーンを基盤とした仮想通過やNFTといった取り組みをする企業も増えています。
ただ、ほとんどの日本企業が展開する仮想通貨やNFTのブロックチェーンは、自社の経済圏のみで流通させるプライベートチェーンが基本となっています。
一方で世界はブロックチェーンを使うとなると、オープンなパブリックチェーンを活用しています。
国境をしばることなく世界に開けたサービスを展開しているんです。
一方で日本はプライベートチェーンで、例えるなら鎖国している状態です。
もちろん日本の仮想通貨やNFTプロジェクトの中にも、パブリックチェーンを利用してサービス展開をしている事業者はいます。
ですが、日本の大手企業はまだまだ閉じた経済圏でのプライベートチェーンばかりです。
世界はパブリックチェーンでの勝負を前提としている中、日本が取り残されていてガラパゴス化しつつあるのが、今の現状です。
この流れをなんとか打破すべく、2022年になって日本のスタートアップ企業をはじめ、政府の中にも危機感が生まれてきています。
この危機感からの巻き返しで、再び日本が仮想通貨市場の最前線に戻ることを願わずにはいられません。
おわりに
いかがだったでしょうか?
今回は千野剛司さんの著書「仮想通貨とWeb3.0革命」から、
- 仮想通貨市場が解決する課題
- 仮想通貨市場における日本の立ち位置
について説明してきました。
まとめると、
ポイント
- 既存金融の課題である①お金を融通する機能という本来の目的を忘れている、②金融が儲かりすぎる仕組みになっている、③時代遅れになっているという3つがリーマンショックで顕在化した。
- リーマンショックで顕在化した既存市場の課題を解決するソリューションとして仮想通貨市場がスポットを浴びた。
- 日本は仮想通貨の先進国だったが、規制やハッキングや詐欺など事件が相次ぎ、ユーザーが離れていったため、一気発展が遅れていった。
- 世界はオープンなブロックチェーンであるパブリックチェーンを使い、国境なく取引をしているが、日本の大手企業などは閉ざされたブロックチェーンであるプライベートチェーンを選択する企業が多く、世界からガラバゴス化している。
です。
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